胃の病の隠れた症状

胃が悪くなると、普通はみぞおちに痛みや不快感が出ますが、みぞおちには自覚症状がなく、胃の症状が脇腹や胸の乳房のあたりの痛みとして現れ、胃以外の病気と診断されることがあります。

胃炎であれ胃潰瘍であれ、ある程度胃が荒れていると必ず所見として現れる箇所が背骨の肩甲骨の間、正確には第5胸椎棘突起と第6胸椎棘突起の間で、本人が痛みを自覚していなくても、この箇所を押すと必ず痛みがありますので、この圧痛点が胃が荒れているかどうかの鑑別に役立ちます。

胃の不調はお薬の副作用によるものも多く、その代表は消炎鎮痛剤ですが、それ以外にも、最近よく処方されているお薬として、血液サラサラのお薬や骨粗鬆症のお薬があります。

動脈の血栓を予防する血液サラサラのお薬を飲んでいる方は、しばしばみぞおちのあたりが冷えています(手で触ってみると分かります)。これは薬の影響による胃粘膜の血流低下の現れであり、胃の痛みや不快などがなくても、胃が荒れています。

またビスフォスフォネートという骨粗鬆症のお薬を飲んでいる方は、胃の痛みや食欲不振などの症状がない方でも、みぞおちを押すとたいてい痛がられ、上記のように脇腹や左の乳房の下あたりに痛みを訴える方が少なくありません。

このようにお薬の副作用で胃を悪くしていても、一般的な胃の症状が現われない場合があることを知っておいてください。