踵(かかと)の痛みと漢方

歩行中、踵(かかと)の着地時に痛みが生じるものは足底腱膜炎と言われ、立ち仕事や運動などで足底腱膜が踵の骨に付着している箇所に過度に負担がかかることにより発症するものです。起床時の歩き始めに痛みがあり、踵の内側に指で押さえると痛みを生じるポイントがあるのが特徴的です。

一般的な治療としては消炎鎮痛剤や湿布剤が用いられますが、十分な効果が得られることは少なく、足裏を保護する中敷きなどが勧められます。ステロイドの局所注射は即効性がありますが、注射の痛みを伴いますし、針が腱膜を痛める可能性があり繰り返し行えません。

この踵の痛みを訴える方は、下肢から腰にかけて太陽膀胱経という経絡に沿って指で押してみると痛みや違和感を訴えられ、漢方薬では疎経活血湯が良く効きます。多くの場合、痛みは服用開始から一週間程度で取れます。但し、疎経活血湯には地黄、当帰、川芎が含まれており、人によっては食欲不振や胃もたれを起こし服用を続けられないことがあります。その場合は若干効果は劣りますが、十全大補湯+桂枝茯苓丸が有効です(十全大補湯にも地黄、当帰、川芎が含まれますが、胃を守る人参、茯苓、蒼朮、甘草(=四君子湯)が配合されており、胃に障ることが少ないです)。