食べ物の良し悪し(私見)

お酒の強さや汗のかき方に個人差があるように、人はひとりひとり体質が違います。なので食べ物や様々な生活習慣の良し悪しも、万人に共通するものと人の体質により異なるものとがあります。

誰もが五臓(肝・心・脾・肺・腎)のうちのどれか一つに弱点があり、その弱い臓がその人の中心となって体質を形成しています。そしてこの五臓に対しそれぞれの臓の働きを助ける五味(酸・苦・甘・辛・鹹)があり、肝は酸味、心は苦味、脾は甘味、肺は辛味、腎は鹹味(塩辛い)により養われるとされています。

胃腸が弱く冷え症で朝が苦手なタイプは脾の弱い人で甘い物好き、呼吸器系や皮膚が弱いタイプは肺の弱い人で香辛料を好む傾向、せっかちで夜が苦手なタイプは肝の弱い人でストレスを感じると梅干しなど酸っぱいものを口にしたくなるなど、弱い臓に相性の良い味が食べ物の好みにも反映されています。

なので例えば脾の弱い人は脾を支えてくれる甘い物を極端に排除する必要はなく、体が要求する時に適量を摂ることはむしろ好ましいと言えます。但し甘いものは体を冷やし(*)摂り過ぎると冷え症の体質を悪化させますので、その点は注意が必要です。

また脾の弱い人に限らず疲れた時に甘い物が欲しくなるのは、吸収の速い糖分で速やかにエネルギー補給を図ることに加え、食べ物の氣を取り込む脾の働きを助け、体に氣を補充して疲労回復を図ろうとする仕組でもあるのでしょう。

このように一人一人に適した食は、各自の体質とその時々の体調によって決まるものと私自身は考えています。

一方で万人に共通して健康上好ましくない食品や食材があります。有害物質が含まれている食品、食材です。有害物質とは加工食品の添加物であり、残留農薬であり、ポストハーベスト(収穫後に添加される殺虫剤や防腐剤)であり、肉類・乳製品・魚介類に残留する有害金属や化学物質であり、遺伝子組み換え作物です。

前にも記事にしましたが、体に良くないとされる小麦のグルテン蛋白も脾の弱い人は腸にダメージを受けやすいですが、それ以外の人にはそれほど大きな影響はなく、むしろ精製小麦粉に含まれる残留農薬やポストハーベストの方が万人にとって問題と思います。

また毎日の食事で加工食品の割合が多い人は、腐敗や酸化を防ぐ保存料などの添加物を同時に摂取しており、少量といえども取り続ければ腸内細菌叢がダメージを受け、腸内環境の悪化から免疫システムの異常を引き起こす可能性があります。

このように今やあらゆる食品・食材に有害物質が含まれており、日々の食から完全に排除することは不可能ですが、健康を維持するためには食材に関する正しい知識を持ち、出来るだけ有害なるものの摂取を少なくすることが不可欠です。

また体に良いものでも摂り過ぎると害になります。食に限らず過ぎる行為は体を大切に扱わないことであり病の元です。

(*)南の国々や沖縄・鹿児島など日差しが強く暑い地域の食べ物の味付けが甘いのは、バナナやサトウキビなど甘い作物がよく採れる地域というだけでなく、甘い味付けで体を冷やし高温環境に適応するための食の知恵でもあるのでしょう。

芙蓉

すだち

ヤブラン

ヒガンバナ