からだを冷やさない工夫(食べ物)

からだの冷えは免疫力の低下を招き、万病の元と言われます。これからの時期は特にからだを冷やさないよう注意しましょう。からだを冷やす要因の一つに食べ物があります。熱帯地方などで出来る果物はからだを冷やす作用があり、それを食べて暑い気候の中でも暮して行けるようになっています。例えばバナナは一年中比較的安価で手に入りますが、からだを冷やしますので冬は避けた方がよい食べ物です。砂糖はやはり南方産のさとうきびから作られ、特に白砂糖(精白糖に後から着色したざらめ糖なども同じ)は非常にからだを冷やします。白っぽい色のものは黒っぽい色のものよりからだを冷やします。糖分を摂る場合は黒砂糖か良質の蜂蜜やメープルシロップなど精白してない自然本来の黒や茶色のものを程々に摂ると良いでしょう。甘党の人は常にからだが冷えていますので特に注意が必要です。夏野菜のトマト、きゅうり、なすなども同じようにからだを冷やしますので、今は一年中手に入りますが、特に冷え症の人はこの時期は避けるか、サラダなどで生で食べずにしっかり火を通して冷やす作用を弱めてから食べる方が良いでしょう。旬の物はやはり旬の時期に食べるのが一番です。

からだを温める食べ物は塩、根菜類(人参、ごぼう、生姜、蓮根など)、芋類、発酵食品、暖色系(黒・赤・橙色)の食べ物です。塩(自然塩)はからだを温める作用が非常に強く高いエネルギーを持っています。塩は命の源であり、最近の減塩の風潮は行き過ぎです。色白で胃腸が余り丈夫でなく冷え症の人は減塩などせずに、自然塩(特に天日塩)を味噌、醤油などからも積極的に摂りましょう。からだが温まり元気が出ます。生姜はそのまますりおろすか、薄くスライスしたものを数日間天日干しして(出来れば蒸したあと天日干しするとさらによい)電動ミルで粉末にし、飲み物や料理に加えて毎日摂るとからだがよく温まり、寒さに強くなりますのでお勧めです。生の生姜より干し生姜の方がより温まります。

急病時の食事

風邪や胃腸炎などで食欲がないときには、無理に食べないようにしましょう。「食欲がない」ということは、「今は食べ物を入れないで」というからだからのメッセージですので、食べない方が早く治ります。犬、猫、野生動物は病気になると、自然に治るまで何も食べずにひたすらじっとしています。「消化吸収」というのは多大なエネルギーを要する作業で、急病の時に食べてしまうと、「免疫の働き」に注がれるべきエネルギーがその分だけ「消化吸収」に回されてしまうからです。ですからからだに病気治しに専念してもらうには、水分補給のみにして食べ物は摂らずに過ごす方が良いわけです。外傷の場合も同じ理由で、怪我や傷の化膿などは食事を出来るだけ軽くしておいた方が順調に治ります。「無理をしてでも食べて体力をつける」という思い込みを一旦外して、からだの声に素直に耳を傾けてみませんか。

季節外れの冷え

立夏を過ぎ、日中の気温は平年並みかそれ以上であるのに、朝晩に限っては涼しく時に肌寒いくらいの日が続いていますね。冷えというと専ら冬の寒い時期の症状と思われがちですが、寒気を体内に入れないよう皮膚が締まっている冬の時期よりもむしろ、体内の熱を放散するよう皮膚が開いてくる春以降に、季節外れの寒さに見舞われて寒気が体内に侵入し、冷えによる症状を訴える方がおられます。一見冷えとは縁のなさそうな体格の良い30~40代の男性にも見られます。症状としては背部~腰部の痛み、下肢背側のつっぱるような痛みで、経絡で見ると痛みは太陽膀胱経に沿って現われており、膝裏の委中というツボやアキレス腱近くの大鍾というツボを押すと痛みのあることが多いようです。腰に負担のかかる動作や姿勢が発症のきっかけになることもありますが、その場合でも背景にからだの冷えが潜んでいます。この冷えが原因の腰や下肢の痛みには、消炎作用のある(すなわち体を冷やす)湿布や鎮痛剤は無効かむしろ逆効果で、熱めのお風呂に入ったりカイロ等で温める方が楽になります。漢方治療では体を温める作用のあるお薬を使います。

人の中心の臓

人は誰でも東洋医学で言う五臓(肝・心・脾・肺・腎)のどれか一つが弱く、その一番弱い臓がその人の中心であり生まれつきの体質を表しています。肝が中心の人、心が中心の人、脾が中心の人、肺が中心の人、腎が中心の人と、五種類の人がいます。病もまた中心の臓に絡んで現れやすいようです(注:東洋医学で言う臓は西洋医学の臓器と同じではありません)。脾が中心の人は夜更かし朝寝坊タイプ。甘い物好きで胃腸が弱く、なかには冷たいものを飲むとよく頭痛がするという人もいます。ちなみに私は早寝早起き、晩にはやる気がなくなる肝中心の人で、新緑の時期が一番好きです。

避けるべき食べ物1

保存料等の添加物が多く含まれている食品。コンビニやスーパーで売られている加工食品の成分表示に必ず目を通しましょう。梅干しおにぎりのようなシンプルなものでさえ、信じられないくらい沢山の添加物が入っていて、本当にびっくりします。店頭に並び売れ筋商品となるには、米、塩、梅干し、海苔だけではいけないのでしょうか。添加物の中でもカタカナ表記された成分は要注意です。また保存料はその特性上、菌の増殖を抑えるものですので、たとえ少量であっても毎日摂り続けると腸内細菌がダメージを受けない筈がありません。腸内環境の悪化は免疫の低下を招き、すべての病の元とも言えます。

少食・菜食のすすめ

人間の体は何でも「過ぎる」と苦しむように作られていて、食べ過ぎるとお腹が苦しくなりますし、それが習慣化するといずれ病となります。成長期の子供やハードな肉体労働者でない限り、高カロリーの食事を一日三食しっかり摂るのは食べ過ぎと思います。朝食をなるべく軽くしてみましょう。朝は固形物抜きの水分のみとし、昼・夕の一日二食とすればより理想的です。早朝から昼前までの時間帯は、目やに・鼻水・くしゃみ・尿量の増加など体の働きが排泄に向けられていて、食べ物を体に入れない方が出すべきものをしっかり出すこと(デトックス)が出来るからです。そして夕食は出来れば就寝の3時間前までに摂るようにしましょう。

また大食の方は得てして早食いです。良く噛んで食べることで食事に時間が掛かり、自然と食事量を減らすことが出来ます。早食いそのものも病の元です。食べ物に感謝しながら一口につき50回噛み、食べ物の味をよく舌で味わってから飲み込む習慣を身につけましょう。食べ方というのは知らず知らずのうちに身についた癖ですので、まず意識するところから初めて、根気よく直していきましょう。

丈夫で健康な体を作るには肉・牛乳・卵などの動物性食品の摂取が欠かせないというのは、そう思い込まされたものであり事実ではありません。日々の食事を菜食中心にすると腸内環境が改善し、体調も次第に良くなっていきます。主食は精製されていないものが良く、栄養価とデトックスの面から玄米>胚芽米>白米です。玄米に天日塩を加え炊飯したのものが一番お勧めですが、白米に発芽玄米や雑穀米を混ぜて炊いたものから初めてみてもよいと思います。