感染症が長引いてなかなか治らないとき、治すにはしっかり食べて栄養をつけ免疫力を高める必要があると多くの方が信じ込んでおられますが、栄養失調でない限り、実際はその逆で、食をなるべく控えた方が免疫力が高まり病気が早く治ります。
食べ物の栄養をからだに取り込むには消化吸収の過程が必要で、それには多大なエネルギーを要します。食を控えると消化吸収に費やされるエネルギーが抑えられ、その分エネルギーが免疫の働きにまわされて、からだが感染症の治療に専念出来る状態になるのです。
病気になっても自力で治すしかない野生動物は、病気が自然治癒するまで安全なところに身を潜め何も食べずにじっとしています。本能的にそれが自然治癒力を引き出す最も良い方法であることを知っているのです。
また「噛む」というのは食べ物を消化する一番最初の過程で、胃腸の自動的な消化吸収作用とは異なり、自分の意思で行えるものです。食べ物をよく噛んで唾液と混ぜることにより、胃腸の消化吸収の負担を軽くする事か出来ますので、よく噛むこともまた免疫の働きを十分に引き出す重要なポイントです。
実際、2年間治らずに経過した難治性の足の指の骨の慢性骨髄炎で、専門医が治療は足指の切断しかないと判断したものが、朝食抜き菜食中心の昼夕2食で良く噛んで食べるようにしたところ、その後1ヶ月で綺麗に治り足指を切断せずに済んだ例や、帯状疱疹(帯状ヘルペス)で適切な初期治療にもかかわらず発症1ヶ月後も頑固な神経痛が残り、難治性の帯状疱疹後神経痛への移行が危ぶまれたものが、やはり少食を実行し始めた途端に神経痛が改善しだし、幸いにも後遺症なく治癒した例などがあります。
これから気温が下がると、風邪を引かれる方もおられると思いますが、風邪が長引いてなかなか治らない場合や拗れて気管支炎になってしまった場合は、しっかり食べて栄養をつけるという思い込みを捨て、食をなるべく控えてお腹が空いた状態を保ち、食べるときも一口30回以上良く噛んで食べ、からだを冷やさないように気を付けて過ごされるとよいでしょう。