帯状疱疹(帯状ヘルペス)

出口の見えない新型コロナウイルス感染症への不安や恐れ、長期の自粛によるストレスの蓄積等から、免疫力の低下による帯状疱疹(ヘルペス)の発症例がこのところ目立っています。

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる小さな赤い水ぶくれ状の皮疹(疱疹)で、頭のてっぺんから足の先まで体中どこにでも出来、チカチカと刺すような痛みを伴うのが特徴です。水痘・帯状疱疹ウイルスとは子供の頃に罹る水ぼうそうのウイルスのことで、水ぼうそうが治った後もウイルスが体の神経組織の中に潜み続け、体の免疫力低下をきっかけに再び悪さをし出したものとされています。

典型例では、はじめ体のどこか一か所にチカチカと刺すような痛みやビリビリと電気が走るような痛み(神経痛)が出て、その数日後に痛みの箇所に一致して強い痛みを伴う小さな赤い水ぶくれの皮疹が幾つも現れます(軽症例では痛痒い程度の痛みのこともあります)。

帯状疱疹は治療の開始が遅れると赤い皮疹が治った後も頑固な神経痛が残ることがあり、出来るだけ早期に診断し治療を開始する事が望ましいのですが、皮疹が出る前の段階では単なる神経痛か帯状疱疹の前触れかの鑑別が難しく、通常は赤い皮疹の出現を待って治療が開始されます(*)。

一般的な治療はバラシクロビルなどの抗ウイルス薬で、痛みに対しては鎮痛剤が用いられます。当院では症例により、抗ウイルス薬に加え葛根加朮附湯、五苓散、五苓散+黄連解毒湯等の漢方薬を併用して痛みに対処し、さらに強い痛みには神経ブロック注射を行うこともあります。
皮疹がほぼ治った後も辛い神経痛が続く場合には、桂枝加朮附湯や十全大補湯+ブシ末などの漢方薬と神経ブロック注射の併用が有効なことが多いです。

(*)私自身はこの鑑別の目安として、帯状疱疹の前触れとしての神経痛は、痛みの出ている神経に沿って皮膚をつまむとヒリヒリした痛みがあり、一方単純な神経痛では皮膚の感覚は正常である点に着目しています。帯状疱疹は体の半身(右側か左側のどちらか)に出現しますので、神経痛の出ている個所の皮膚をつまんだ時のヒリヒリ感を反対側の皮膚と比べて確認しています。

昨年は殆ど花の咲かなかった庭の梅の木が、今年は沢山花をつけています。梅の実の収穫が今から楽しみです。

自然治癒(閲覧注意)

2021年元旦の早朝に庭に出てみると、チョロが足元に走り寄ってきました。まだ薄暗い中、背中からお尻にかけて白く汚れているように見え、埃を払おうとすると、何故か触られまいと逃げまくります。

あたりが少し明るくなり、もう一度チョロの背中をよく見ると、何と直径3~4センチくらいの範囲で毛がごっそりと抜け、下に赤い身が見えています。何者かに皮膚を噛みちぎられたような酷い傷です。正月早々、なんてことでしょう!

近づいて傷の状態をよく観察すると、長径2.5センチ程の大きさで皮膚が全層にわたって完全になくなり、下の筋膜が見え、一部筋膜にも穴が開いて筋肉が見えています。チョロの体表面積からして、人間だと大人の足の裏の面積くらいの皮膚が完全になくなっているのです。

そんな大怪我なのに痛みでうずくまるということもなく、いつものようにあちこち動き回っては、しょっちゅう傷口を舐めていました。折角のお正月なので、朝ご飯におせち料理(といってもいつものカリカリに中骨を取り除いた煮干しの出し殻がトッピングしてあるだけですが)を出すと、美味しそうに食べました。

それにしてもチョロがどうしてこんな酷い傷を???

次の日の深夜、庭から聞き馴れない動物の鳴き声が聞こえてきました。懐中電灯を手に庭に出てみると、そこにはポンタとチョロがいて、塀の外を鳴き声を上げながら走り去る動物の気配がありました。ポンタは毛を逆立て興奮した様子で、暫く警戒を解きませんでした。

逃げて行った動物は鳴き声からしてアライグマ?と思われ、庭に侵入してきたところをポンタに追い払われたのかもしれません(過去に二度そういう事がありました)。

チョロは大晦日~元旦の深夜に庭のマイハウスでひとり寝ているところを侵入してきたアライグマ?に襲われ、後ろから噛みつかれるも毛と皮膚を噛みちぎられただけでかろうじて逃げたのではないでしょうか。そして翌日またチョロを狙って庭にやって来たのでしょう。

これは1月6日(受傷6日目)の傷の様子で、見るからに痛々しい傷ですが、不思議なことに大して痛みはないようです。この頃になると傷口からリンパが溢れるように出てきて固まり、薄い透明の膜になって創面を覆っていました。そこに寝床の底に敷いてある落ち葉や干し草の欠片がよく付着していましたが(笑)、傷口自体は綺麗な色で嫌な臭いもなく、剥き出しの傷なのに感染の兆候は全くありませんでした。

アップで見るとどこかアライグマの顔の様に見えませんか?(笑)

その後周囲から白い皮膚が再生されてゆき、傷の赤い面はどんどん小さくなってゆきましたが、傷は治ってもお尻に大きなハゲが残るのではないかと心配でした。可愛い雌のチョロちゃんだけに、それはそれで可哀想だなと・・・

ところが傷口がほぼ覆われる頃になると、なんと新しく再生した皮膚から真っ黒な毛が生えてきたのです!

これが受傷25日目の様子です。ブレた写真ですが、中心の小さな赤い面の周りに黒い毛が再生されていますでしょう?

そして傷がほぼ完全に再生皮膚に覆われる頃には、再生した毛も伸びてきました。まだ周囲の毛と比べると短いので段差が目立ちます。

次が2月23日(受傷53日目)の様子です。再生した毛も伸び、周囲の毛との段差も目立たなくなってきました。チョロはこの間ずっと元気で、最近は傷口を舐めることもなく、怪我の事もすっかり忘れている様子です。

私は人の怪我の治療は専門ですが、猫の怪我はどう処置したらよいか分からず、ただ様子を見るだけでした。そして人間でも動物でも「喜びこそが免疫力や治癒力を高める一番の力である」と信じて出来るだけチョロを可愛がり、ゴロゴロ音を鳴らして喜んでいるのを確かめ、ご飯にも度々お気に入りのトッピングを加えました。猫のゴロゴロ音には骨折治癒促進効果があることが分かっているので、そうしてみました。

それにしても自然治癒力というのは本当に凄いものですね。むき出しで土や埃が付いて多少不潔になろうが、免疫力がちゃんと働いていれば全然化膿などしないし、毛まで再生されて綺麗に元通りに治ってゆくのですから!

今日も何事もなかったようにご飯を食べています。

食事中の満足そうなチョロの顔です。

獣医さんのお世話になることもなく、これだけの大怪我を自力で治してくれて、うちもコロナ禍で何かと苦しい中、本当に助かりました(笑)

人生いろいろですが、猫生もまたいろいろですね。