先月、専門医により線維筋痛症と診断された患者さんを診る機会がありました。線維筋痛症とは長期に渡りからだのあちこちに原因不明の激しい痛みが出る病気で、リウマチ情報センターに詳しい解説が載っています。
この解説の9.診断のところにある米国リウマチ学会1990年基準の「線維筋痛症における18ヶ所の圧痛点」と日本年金機構の「線維筋痛症の障害状態についての診断書」の参考資料にある特徴的な圧痛点①~⑩を見た時に、ワクチン後遺症としてのストレス性疼痛を訴える人の圧痛点と悉く一致していることに驚きました。
私はワクチン後遺症の痛みを酸化ストレスが原因と考え、酸化ストレスが引き起こす肝の緊張(交感神経過緊張)よって生じる経絡・経穴の痛みと捉えていますが、年金機構の参考資料の線維筋痛症の特徴的圧痛点①③⑧⑩は足少陽胆経、⑨は足厥陰肝経の経穴であり、②は星状神経節(頚部交感神経節)の箇所であり、④⑤⑥もストレス性疼痛の方がよく痛みを訴える箇所なのです。そしてワクチン後遺症の場合、2回接種までなら(一部3回接種の人も)、これらの痛みは抗酸化治療(グルタチオン注射)を続けることにより軽快します。
この特徴的な圧痛点の一致から、もしかすると線維筋痛症の痛みも交感神経過緊張が原因であり、その背景には酸化ストレスが潜んでいるのではないか?と推測しています。第7胸椎棘突起直下の至陽という督脈上の経穴は、交感神経の緊張を反映する代表的なツボであり、ワクチン後遺症のストレス性疼痛ではほぼ全例に圧痛がありますが、私が診た線維筋痛症の患者さんも至陽にはっきりとした圧痛を認めました。