50代の男性が今月初旬に他院でインフルエンザワクチン接種を受けたところ、接種後2日目に四肢および体幹に湿疹が出、皮膚科で飲み薬と塗り薬を処方されるも、激しい痒みで仕事に出られず夜も眠れないとのことで、当院を受診されました。
インフルエンザワクチンは今まで何度も受けてきたが、接種後にこのような湿疹が出たのは初めてとのことです。小学生の子供も同じ日に一緒にインフルエンザワクチンを受け、やはり接種後2日目に四肢に湿疹が出たとのことで、この患者さんはワクチンが原因ではないか?と言われていました。
画像の部位以外に、左胸腹部、両股部にも広い範囲に同様の湿疹が出ていました。この方は以前に強い背部痛で当院を受診されており、治療により痛みは軽快しましたが、1回目のコロナワクチン接種直後に全く同じ痛みが出現したため、コロナワクチンは1回で止められました。
ワクチン接種後の皮膚のかゆみ、発赤、湿疹自体は珍しいことではなく、湿疹の出現には体調面やストレスなども大きく関与しますので、今回受けたインフルエンザワクチンの成分が原因とは言い切れませんが、このような広範囲の湿疹は比較的稀と思われ(知り合いの小児科医も経験がないとのこと)、一例として挙げてみました。
この患者さんは皮膚科で処方されたステロイド軟膏と抗アレルギー剤の内服では一向に痒みが治まらず、夜が全く眠れないので、この寒さのなか患部に扇風機を当てて冷やし、夜中の激しい痒みを何とか凌いでいたそうです。
当院では発赤と痒みに対し黄連解毒湯の処方とグルタチオン注射を行い、湿疹は改善しつつあります。