季節外れの冷え

立夏を過ぎ、日中の気温は平年並みかそれ以上であるのに、朝晩に限っては涼しく時に肌寒いくらいの日が続いていますね。冷えというと専ら冬の寒い時期の症状と思われがちですが、寒気を体内に入れないよう皮膚が締まっている冬の時期よりもむしろ、体内の熱を放散するよう皮膚が開いてくる春以降に、季節外れの寒さに見舞われて寒気が体内に侵入し、冷えによる症状を訴える方がおられます。一見冷えとは縁のなさそうな体格の良い30~40代の男性にも見られます。症状としては背部~腰部の痛み、下肢背側のつっぱるような痛みで、経絡で見ると痛みは太陽膀胱経に沿って現われており、膝裏の委中というツボやアキレス腱近くの大鍾というツボを押すと痛みのあることが多いようです。腰に負担のかかる動作や姿勢が発症のきっかけになることもありますが、その場合でも背景にからだの冷えが潜んでいます。この冷えが原因の腰や下肢の痛みには、消炎作用のある(すなわち体を冷やす)湿布や鎮痛剤は無効かむしろ逆効果で、熱めのお風呂に入ったりカイロ等で温める方が楽になります。漢方治療では体を温める作用のあるお薬を使います。

人の中心の臓

人は誰でも東洋医学で言う五臓(肝・心・脾・肺・腎)のどれか一つが弱く、その一番弱い臓がその人の中心であり生まれつきの体質を表しています。肝が中心の人、心が中心の人、脾が中心の人、肺が中心の人、腎が中心の人と、五種類の人がいます。病もまた中心の臓に絡んで現れやすいようです(注:東洋医学で言う臓は西洋医学の臓器と同じではありません)。脾が中心の人は夜更かし朝寝坊タイプ。甘い物好きで胃腸が弱く、なかには冷たいものを飲むとよく頭痛がするという人もいます。ちなみに私は早寝早起き、晩にはやる気がなくなる肝中心の人で、新緑の時期が一番好きです。

避けるべき食べ物1

保存料等の添加物が多く含まれている食品。コンビニやスーパーで売られている加工食品の成分表示に必ず目を通しましょう。梅干しおにぎりのようなシンプルなものでさえ、信じられないくらい沢山の添加物が入っていて、本当にびっくりします。店頭に並び売れ筋商品となるには、米、塩、梅干し、海苔だけではいけないのでしょうか。添加物の中でもカタカナ表記された成分は要注意です。また保存料はその特性上、菌の増殖を抑えるものですので、たとえ少量であっても毎日摂り続けると腸内細菌がダメージを受けない筈がありません。腸内環境の悪化は免疫の低下を招き、すべての病の元とも言えます。

少食・菜食のすすめ

人間の体は何でも「過ぎる」と苦しむように作られていて、食べ過ぎるとお腹が苦しくなりますし、それが習慣化するといずれ病となります。成長期の子供やハードな肉体労働者でない限り、高カロリーの食事を一日三食しっかり摂るのは食べ過ぎと思います。朝食をなるべく軽くしてみましょう。朝は固形物抜きの水分のみとし、昼・夕の一日二食とすればより理想的です。早朝から昼前までの時間帯は、目やに・鼻水・くしゃみ・尿量の増加など体の働きが排泄に向けられていて、食べ物を体に入れない方が出すべきものをしっかり出すこと(デトックス)が出来るからです。そして夕食は出来れば就寝の3時間前までに摂るようにしましょう。

また大食の方は得てして早食いです。良く噛んで食べることで食事に時間が掛かり、自然と食事量を減らすことが出来ます。早食いそのものも病の元です。食べ物に感謝しながら一口につき50回噛み、食べ物の味をよく舌で味わってから飲み込む習慣を身につけましょう。食べ方というのは知らず知らずのうちに身についた癖ですので、まず意識するところから初めて、根気よく直していきましょう。

丈夫で健康な体を作るには肉・牛乳・卵などの動物性食品の摂取が欠かせないというのは、そう思い込まされたものであり事実ではありません。日々の食事を菜食中心にすると腸内環境が改善し、体調も次第に良くなっていきます。主食は精製されていないものが良く、栄養価とデトックスの面から玄米>胚芽米>白米です。玄米に天日塩を加え炊飯したのものが一番お勧めですが、白米に発芽玄米や雑穀米を混ぜて炊いたものから初めてみてもよいと思います。